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【アフターマーケット掲載】totocoが生まれた自動車整備工場のDX成功の秘訣!vol.45
2025.08.27
みなさまこんにちは。ヤマウチの人見です。
今月号では、在庫部品の管理についてご案内いたします。
経理からの月締め損益計算書と店舗側の目算が謎にずれる・・
経理の方が同じ部署でお仕事されている会社なら、「あれ!?まだ売上が立ってないのにガラス交換の請求書が来てんじゃん!」や「たしかあの部品はよく出るから在庫を増やしたはず!」など情報共有が容易にできますよね?しかし、店舗でこしらえた売上伝票を経理部へまわし、各取引先から来る請求書も店舗スタッフが目を通すことなく経理で一括管理となると、店舗側が棚卸業務をしっかりとしておかなければ、把握している粗利の数値が経理と現場のあいだで大きく乖離してしまいます。
基幹システムで売上伝票をこしらえるわけですから、当然仕入額も入力もしていますよね?だけれども、経理から出る月締めの損益計算書を確認しますと、毎月と言って良いほど店舗側の目算より、多かったり少なかったりと、謎にずれるというわけです。「んー。売上額はおかしくないからお金をくすね盗る様な輩はおらんってことやん?まーそこは安心なんやけれど、粗利がずれるってことは仕入れ管理がちゃんとできてないってことやんか・・。でも、ちゃんと毎月実地棚卸もしているし、管理状況をパトロールしても不正なんて見当たらんのよなぁ・・。いったいぜんたい何が悪さしとんやろか・・」。基幹システムから出る速報値の粗利実績と、10日ほど遅れて出る損益計算書の数値の差を見る度に、店長へ徹底的に調査する様、指示を出すんだけれど、都度「鈑金の売上が翌日にまわってました!」「来月売上予定の新車取り付けパーツを棚卸に入れるのを忘れてました!」「外注してるラジエータ修理の伝票だけ先に来てました!」「中古エンジンの発送ミスがおきてました!請求書だけ先にきてます!」「オートオークションの取引でお金だけ先に支払ってます!」などなど、毎月毎月突発的な個別対応のオンパレードな報告が上がってまいります。しかし、どれをとっても額が大きいですから「あー。それは個別対応やし分からんかったわのー」では済まされないんです。
差分の原因を調べるとそこには経営目線と現場目線の乖離が・・
全部の伝票をひっくり返さなきゃ差分の原因が分かんない時もあります。下手したらまる三日を要する事もありますが、これらは絶対に捨て置くことはできません。だって「え?ウチってまさか部品泥棒がおるん?」なんて事をチラりとでも思いたくないでしょう?皆様が安心安全に仕事ができる職場をこしらえるのもマネージャーの仕事であります。
もちろん年度末の決算ですべてはつまびらかになりますが、1年経たなきゃナンボ儲けているか正確な数値が読めないだなんて、怖がりの私からすると、ありえません。「あの時手を打っておけば・・」とか後悔したくありませんし、今回のコラムでは触れていない経費まわりの管理までをも含め、毎月ちゃんとしなきゃ安心して運営なんてできません。ですから棚卸のズレを把握できずに放置するなんてこと、あってはならないんです。「ちょー。毎月毎月調査とか超しんどくない?私もうイヤやわ。今年はココにメス入れしようやぁ・・」店責者の皆様に申し入れて、さっそく手当でございます。
まずは、在庫部品の見直しからスタートです。あんまり使わない部品は返品もしくはリサイクルショップで処分をし、多数あった委託部品制度も廃止しました。委託部品だと、仕入れせずとも目の前に部品があるわけですから、とっても魅力的でありがたいのですが、残念ながら私たちのずさんな管理が祟って過剰在庫の温床になっていました。また、私たちの教育不行き届きから、「先月の棚卸台帳に載っていない部品は数えなくて良い」とか「車販関連は別枠管理だから放置で良い」など、独自解釈しているスタッフも数多く散見され、なんと、部品の仕入価格が変わっているのに旧価格で管理しているものまでありました。「あー。そういえば経営目線の常識と現場目線の常識ってかけ離れたトコにあったよなぁ・・。私も現役時代に棚卸の重要性なんて考えた事無かったもんなぁ・・」。
不良在庫を発生させないために「棚卸のDX化」を進めましょう
そんなわけで店責者に「これは重要性を理解してないスタッフが悪いんやなくて、棚卸のルール化と見える化ができていないウチらが悪いで!ダメだめのダメや!」と申し入れし、棚卸はグーグルスプレットシート(Google が提供する、オンラインでリアルタイムによる共同編集が可能な表計算ソフト)で管理することにしました。しつらえが、エクセルとよく似ていますので、能動的に使えますし、編集権限を持っている方はどのデバイスからでも操作することができます。何と言っても誰もがどこからでも閲覧できますので、異常値がすぐに分かりますから安心ですよね!スプレットシートのひな形は「基準在庫」「客注部品」「車販」「外注」「キャンペーン」などカテゴリーで分けまして、翌月の棚卸時に客注部品がどうなったのか確認ができる様、売上済か否かも入力できる様にしました。「ん!鉄壁な守備や!」ニヤニヤしながら迎えた月末・・またもや損益計算書と仕入れ額がズレています。えぇぇ・・なんでなん・・。
目をショボショボさせながらズレの原因をあぶりだしつづけ、1年ほど経過したあたりで「○○社はウチの締めにあわせて請求書を出してくれない」や「△△社からOEM提供いただいてるアレは四半期毎にまとめて請求が来る」など、数か月に一度発生するものがあぶり出て来ました(額が大きいうえ結構な件数あるんです・・)。「あー。長年悩まされてたんは、コヤツらが原因だったんかぁ・・」
棚ずれの規則性が分かる度に、管理しやすい様にスプレットシートをブラッシュアップしつづけて約2年。棚ずれ完全ゼロとまでは参りませんが、ほぼニアな数値で管理ができています。
スプレットシートでの管理は思わぬ副産物も届けてくれました。見える化がすすんだことで1か月以上客注部品を放置している担当者があぶり出てくるんです。「うわ!放置してんのバレバレじゃん!はよお客さん呼ばな!!」となりますし、店責者は指導しやすいですよね!「長期の不良在庫が出ない!」サイコーじゃないですか!
整備工場は取り扱う部品点数が多いうえ、管理がとっても煩雑です。不良在庫を発生させないためにも、「棚卸のDX化」是非トライしてみてください!