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【アフターマーケット掲載】totocoが生まれた自動車整備工場のDX成功の秘訣!vol.33
2025.08.22
みなさまこんにちは。ヤマウチの人見です。
今月号は先月号でご案内したとおり「外国人プレイヤーにご活躍いただける様に、どんな工夫をしているのか」です。
30年近く前のお話になりますが、法改正で検査の合理化措置がなされ、短時間車検が展開できる様になりました。当時の事業部長が「お客様立ち会いのもと、良い結果も悪い結果もすべてつまびらかにご説明をして、ご納得いただいたうえで整備をする。ウチは『立ち会い車検』を軸としてやっていく!」と宣言するわけですが、当時のわたしは、整備業界なんてまったくもって知らない20代前半の娘っ子でしたから、「え?お客様にご納得いただいたトコを整備をして、お金をもらうんでしょ?フツーに当たり前のことじゃん?なんでこんなに鼻息あらいん??」と、宣言を出す覚悟を理解できずにいました。
立ち会い車検のリリース初日にメカニック全員が出社せず退職
環境を整備し、ようやく立ち会い車検をリリースしたその日に、メカニック全員が「出社しない」という強硬手段で退職を選択しました。「お客様への説明は営業の仕事だろ?どうしてオレらがしなきゃいけないんだ!オレらの仕事は車の整備だ!バカにしてんのか!」メカニックの不満が大爆発しての出社拒否。まさにテロ事件であります。
現在では、整備箇所を説明し、ご納得いただいて整備をするなんて事は、しごく当たり前のことですよね(笑)たった3名で立ち上げたラチェットモンキーですが、今となっては総スタッフ数50名以上、店舗数4店舗とたいへんな大所帯となりました。そんな整備業界にどっぷりと浸かった人生の中でわたしが学んだことは、「たとえ、どの様な素晴らしい絵を描こうとも、メカニックさんがいなければ私たちの仕事はなりたたない」ということでした。
「メカニックさんが過ごしやすい環境を整える」ただただこの想いでこれまで走ってきたのですが、ここ数年、「メカニックさんの過ごしやすさ」が変わってきた様に感じています。
もっと仕事がしたい外国人プレイヤーの仕事の効率化に取組む
時代は令和です。これまで正義であった多数決の様な単純な世界観ではなく、多様性を認め、個々人の事情に寄り添い、誰ひとりとして置いてきぼりにしない世界が求められています。私がマネージャーになった当初から思い、そして実践もしてきた「職人さんは締め付けられるのがキライだしプライドも高い。ルールで縛ると嫌がるから、道徳観をベースに置いてマネジメントする」というのも、つきつめて考えますと、道徳観自体が、老略男女どころか個々人が置かれている環境によりかわるわけですし、十把一絡げにするわけには参りませんよね。それこそ私が大嫌いな「無自覚な差別」のそれである様に感じるわけです。
そんな迷いが生じている中、先月号でご案内した様に優秀な外国人プレイヤーが入社いたしました。多くとも月間15時間以上は残業をしない様、仕事量をコントロールしている中、「もっと仕事をさせてください。僕は大丈夫なのに、そして仕事もあるのに、なぜ残業してはいけないのですか?」と申し受ける事となります。2019年に施行された働き方改革以降、「生活残業を根絶させる」と誓い、とにかくメカニックさんの休日増と残業減に努め、相対的に「年収増」に尽力して参りましたから(懐が深い会社に感謝です)、日本人のスタッフから久しく「休日出勤したい。残業したい」なんて言葉を耳にしたことがありません。ですから「もっと仕事がしたいんだ!」と訴えてくる姿にじんわりしつつも「とはいえ、過度な残業はさせられないから、外国人プレイヤーの仕事の効率化も考えなきゃいかんな!」と強く思いました。
お客様説明を統一するためにマニュアルの作成に着手
先述したとおり「メカニックさんはルールで縛るといやがる」という想いからラチェットモンキーには、接客マニュアルが存在しませんでした。私たちが提供しているのは法で定められた車検と、故障修理やメンテナンスです。好きこのんで利用する人は一握り。まさに人間の病院と一緒です。ですから「人ではなく車を見て商売をする。メカニックとしての矜持を持ち道徳心を持って商売をする」これさえベースに置けば我流でも良いと考えていました(もちろん整備など実際に車を触る際は決め事に沿っています。ご安心くださいね!)。しかし、働き方改革以降、休日増や残業減を実現させるため、中途採用者を複数名迎え入れる事となりました。もちろん皆さま優秀な方ばかりではありますが、他の会社様で育った方々です。お持ちのアイデンティティ自体が違うんです。気が付けば、立ち会い車検のキモである「お客様へのご説明」にばらつきが出る様になっていました。
そんな状況下で外国人プレイヤーの「もっと仕事がしたい」との申し入れです。マニュアルを作るという流れになるのは、しごく当然な流れです。「窮屈になる様な申し入れで申し訳ないのだけれど・・」と古参のメカニックさんに相談したところ「俺も説明力のバラつきが気になってたんや!是非手伝わさしてください!」とノリノリな回答を頂く事となります。「マニュアルは変更がある度に刷新せないかんからグーグルドライブでやりましょう。オフィスが入ってない(エクセルやワードなどのソフトが使えない)パソコンでも見られる様、グーグルドキュメント(グーグルアカウントを持っていたら無料で使えるウェブサービス)でこしらえます。ポータルサイトっぽく利用できるし、ハイパーリンクで動画にも飛べます。何と言っても、クリックひとつで翻訳できますから、外国人プレイヤーも喜ぶと思います!形骸化は避けたいから、勤怠管理のパソコンを立ち上げた際に自動で起動する様に設定しましょう!」と、一気に畳みかけられ、翌週には骨子が出来上がっておりました。お恥ずかしいことに「マニュアル化は古参社員が嫌がる」これも、無自覚な差別だった様です(赤面)。
翻訳できるマニュアルの存在で、今春入社予定の外国人プレイヤーの皆様は、きっと仕事がしやすいと思います。こちら、現在進行形のお話ですので、機会があれば本コラムにて後日談をお話いたしますね。